今年は変な天気が続き、終始雨降りの中のお盆となりましたが、無事に本年度の盂蘭盆会すべての差定を終えることができました。去年に引き続き、コロナ禍の苦しい状況が続きますが、なんとかこの局面を乗り切り、来年こそは日常が帰ってくればと思います。
法という食べ物
お盆は太鼓と鈸を鳴らしてご先祖さまの精霊をお迎えすることに始まり、施餓鬼供養をさせていただいた後、最後にまたお送りすることで終わります。
仏壇があるお家も少なくなりましたが、この時期になるとお盆飾りをして、ちょうちんを出すとともに、毎日お膳をそなえるのが作法となっております。住宅事情の変化もあり、作法通りにやることはなかなか難しいことですが、故人がお家に帰ってきて、私たち生者と食事を共にしている、という風に捉えることが肝心なのかと思います。お盆には都会から地元へと帰省して、家族と共にひとときを過ごす方も多いかと思います。遠くから久しぶりに帰って来た家族には、おいしいものを食べさせたいものです。
仏さまに対する最大のご馳走は、法という食べ物です。法は目に見えないし、形も無いですが、私たちの心をいっぱいに満たします。仕事に忙殺され、都会で息苦しくしている現代人にとって法の味は忘れがちなものです。だれかと一緒に食事するよろこび、時間をともにするよろこびがなければ、私たちの心はどんどんと憔悴していき、枯れ果ててしまいます。
コロナ禍の中、わたしたちはこの上なく飢えを感じているのではないでしょうか。いわゆる施餓鬼供養の「餓鬼」とは、ご先祖さまのことでしょうか、わたちたちのことでしょうか。そういうことに思いめぐらしてみるのも、面白いかもしれません。
まだまだ辛い状況が続く中、来年こそは家族全員で集まり、充実した時間を過ごすことができるようなお盆が来ることを祈願しております。みなさまも感染対策を第一に、くれぐれもお体を大事になさって下さい。
合掌